■粗大ごみナンバーワンは布団!
ひと昔前の話しですが平成20年度の東京都の場合、家庭から出される粗大ごみで一番多いのは「布団」です。年間55万枚!都内で出される粗大ごみは、「粗大ごみ破砕処理施設」(江東区)に集められます。ここで1日に集められる400トンのうち、布団は40トン!昔に比べて布団は多くなっているとか・・・。「これからのエコは良い物を長く使おう!」はいつから実施されるのでしょうか。
ちなみにSDGs(エスディジーズ)の12番めには「限りある資源の有効活用」がありました・・・打ち直しは理想的だと思いますが・・・
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打ち直し(リフォーム)をする敷き布団がお店に到着した状態です。 これから生地を開けて敷き布団の中の綿の状態を見ます。 |
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生地を開いたので中の綿が見えます。
手のひらで布団を上下から押さえてみると「芯」の部分がやや硬い感じがしました。
この部分はおそらく何年も前から打ち直しをして使っていた古い綿が「芯」になっていると思われます。
生地も弱っていたので腰の部分はつまんで軽く引っ張るだけで簡単に裂けてしまいました。
打ち直しもだいぶ長い間出来なかったようです。
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白い綿に着いている青黒っぽく見える部分は主に繊維の折れた綿とすり切れた生地の繊維です。
このホコリは生地の外へは出にくいのでクリーニングでは取り除けません。
さらに、時間が経つにつれ折れて小さくなった部分がホコリとして出てきます。(クリーニングの盲点?)
(生地もホコリも綺麗にはなりますが・・・笑)
※余談ですが羊毛わた使用のお布団は基本的にはウールの毛布と同じなのでクリーニングの際に「防ダニ加工」をお薦めします。
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綿を中心部に向かってより分けて見ると表面とは違う種類の綿が見えて来ました。
永年経ったお布団は「新しい綿でもとからある古い綿を包む仕立」が良くわかります。
周りに巻いてある綿はいくらか元気です。
しかし、中心部分の綿は油が切れて錆びたバネの様なので「コシ」がほとんどありませんでした。
生地を開けて見ると、この綿は古く、ちぎれた繊維がホコリとなって目詰まりをおこしています。
陽に干しても通気が悪かったと思います。
繊維も折れやすく軽く叩いただけでもホコリが出ました。
湿気が溜まりやすくダニやカビの好む環境です。
特に喘息の人には辛そうです。
※この機会に枕もホコリが出ていないか点検しましょう。
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綿をアップにしてみました。 色の違いがわかります。
中心の少し茶色い部分がおそらく25年以上経っている綿です。
この部分の綿は油分も無くカサカサして折れやすくなっていて「綿」としての寿命が感じられます。
左右の白い綿は外側(目減りに対しての足し綿)に使っていたもので比較的新しい綿でした。
これから、この綿を「打ち直し」して使える良い部分を製綿して再利用します。
もちろん悪い部分は処分します。
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写真では左側の少し茶色い方が内側になっていた綿です。
綿100%のはずでしたが実際は化学繊維が30%ほど入っていました。 このお布団の場合、化学繊維の「質」が良かったので問題はありませんでした。
右側の白い綿は外側に使っていたもので比較的新しいもめん綿です。
全体には古い綿が80%位、新しい綿が20%といったところでした。
当店ではこれからこの綿の古くて切れそうな部分や「ホコリを出来るだけ取り除く打ち直し」と言う加工をします。
元の綿が極端にへたっている場合には打ち直す時点で新しい綿を混入する事もあります。
お預かりした綿の古い部分は油分が抜けてコシと張りがかなりへたっていました。もめん綿を足すと元綿がさらに重くなってしまうのでこの場合はテトロン綿を足す事にしました。
この時にご希望があれば防ダニ加工のポリエステル綿を足します。(追加料金がかかります。)
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<打ち直しで一番重要な部分です> マキタの打ち直しはカード式製綿機(※)という製綿機械で行ないます。 温熱風の力も利用するのでホコリやダニの糞や死骸も良く取れます。
写真;「打ち直し」が完了した綿を敷き布団の生地の中に入れました。糸でそれぞれの場所を綴じれば出来上がりです。
マキタでも30年以上前は「まい切り製綿機」という旧式の機械も使っていました。 この機械は綿の目減りは少ないのですがホコリが取れにくく、通気性も悪いので現在では使っておりません。
余談ですが「綿は永遠の財産」という時代の「財産維持装置」の様な機械でした。当時は「良い機械」でした。(綿が減ると財産が減る・・・ホコリも財産?)
(※)カード式・・と言う機械は綿の繊維を縦方向に並べてお互いに反発させて隙間を作る事が出来ます。 嵩が出て通気も良くなる製綿方式ですが加工に多くの時間がかかるので効率を考えると割高になります。
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敷き布団の完成です。
新らしい綿を混ぜたので全体にコシと張りが出ました。
・古い綿でも陽に干して乾燥した時に「芯の部分が少しでも柔らかく感じる」ようでしたら「打ち直し」がオススメです。
干しても芯の部分がカーペットに近い硬さのままだったりペターっとした底づき感があったら買い替え時です。
あるお店の布団の職人は1日に20枚以上の布団を作るそうです。 布団の綿入れ技能士の指導員でもある父から直接、作り方を受け継いだ私はどうしても1枚作るのに多くの時間がかかってしまいます。
1日頑張って作ってもせいぜい5~7枚が限度です。
少しお時間を頂く事になりますが、他の職人に頼らず1枚、1枚丁寧にお仕立て致します。 こころを込めて作ったお布団の出来ばえを実感してみて下さい。
お布団を「糸で綴じるだけ」しかしない「職人の手作り」とは違います。
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